アムステルダム2010/05/05

 YouTubeは、私のような古いオールデイズの曲を好む人間にとって、非常に便利なものだ。

 レコードプレイヤーは故障していて、修理したり新しいものを購入する気にもならず、聴きたい1曲のために、古レコード屋をめぐってCD版をさがし歩き、やっと見つけたら途方もないプレミアがついていたり、オムニバス盤を見つけて購入してみたら、他人の冴えないカバーバージョンだったり、とにかく苦労していた時代が嘘のようだ。奇特な方が全世界的にはたくさんいて、私が聴きたくてしょうがなかったものがYouTubeにアップされていて感激してしまう。自分の趣味はずいぶんマイナーなのだなと思っていたが、YouTubeを見るようになって、そうでもないのだと変な自信すら生じはじめている。

 ブログにYouTubeを貼り付ける方法があることに気づいたので、試行してみる。曲は『アムステルダム』。ジャック・ブレルの名曲。もちろん、彼には他にも『行かないで』等の名曲がたくさんあるが、とりあえず。


 まず、ジャック・ブレル自身の歌。はじめて見たときは、この人はこんなふうに歌っていたのかと、感激してしまった。 *youtubeは削除されてしまったらしく、Dailymotionに変更(5月30日)



 次は、スコット・ウォーカーの歌と、よくできた映像。 ウォーカー・ブラザーズとして来日したとき、テレビでインマイルーム(孤独の太陽)、ダンス天国を歌っているのをカッコイイと思ったものだ。ウォーカー・ブラザーズから独立して、スコット・ウォーカーは好んでジャック・ブレルの歌を歌っていた。私がジャック・ブレルをはじめて知ったのも、この人の歌を通してだった。なぜか、シリアスな暗い歌ばかり歌っていた印象がある。
 Youtubeに最近の彼の歌を聞くことができるが、いまだその傾向はあるようで、なんだかとても爽快な気持ちになれない気持ち悪い歌だ。



 最後に、デヴィッド・ボウイー。この人がロック界に登場した頃、グラムロックとかいった、お化粧したなよなよしたロックにはやはりついていけないものを感じて、リアルタイムのロックを聞くのをやめた。今振り返ると、この人の歌はインテリジェントですばらしいセンスにあふれていたのだとは思う。
 それにしてもこの人、とても素人に真似のできないような歌い方をする。彼の歌を口ずさめる人がどれくらいいるだろう。昔Blue Jeanを歌っていたら、不思議な生物を見るような目で妻が私を見ていた。





原詞と試訳を添付する。わからないより少しでもわかった方がよいというのが 今のところ、私の方針だ。


AMSTERDAM
1964


Dans le port d'Amsterdam
Y a des marins qui chantent
Les rêves qui les hantent
Au large d'Amsterdam
Dans le port d'Amsterdam
Y a des marins qui dorment
Comme des oriflammes
Le long des berges mornes
Dans le port d'Amsterdam
Y a des marins qui meurent
Pleins de bière et de drames
Aux premières lueurs
Mais dans le port d'Amsterdam
Dans la chaleur épaisse
Des langueurs océanes

Dans le port d'Amsterdam
Y a des marins qui mangent
Sur des nappes trop blanches
Des poissons ruisselants
Ils vous montrent des dents
A croquer la fortune
A décroisser la lune
A bouffer des haubans
Et ça sent la morue
Jusque dans le coeur des frites
Que leurs grosses mains invitent
A revenir en plus
Puis se lèvent en riant
Dans un bruit de tempête
Referment leur braguette
Et sortent en rotant

Dans le port d'Amsterdam
Y a des marins qui dansent
En se frottant la panse
Sur la panse des femmes
Et ils tournent et ils dansent
Comme des soleils crachés
Dans le son déchiré
D'un accordéon rance
Ils se tordent le cou
Pour mieux s'entendre rire
Jusqu'à ce que tout à coup
L'accordéon expire
Alors le geste grave
Alors le regard fier
Ils ramènent leur batave
Jusqu'en pleine lumière

Dans le port d'Amsterdam
Y a des marins qui boivent
Et qui boivent et reboivent
Et qui reboivent encore
Ils boivent à la santé
Des putains d'Amsterdarn
De Hambourg ou d'ailleurs
Enfin ils boivent aux dames
Qui leur donnent leur joli corps
Qui leur donnent leur vertu
Pour une pièce en or
Et quand ils ont bien bu
Se plantent le nez au ciel
Se mouchent dans les étoiles
Et ils pissent comme je pleure
Sur les femmes infidèles

Dans le port d'Amsterdam
Dans le port d'Amsterdam.


アムステルダム1964
(本来詩の翻訳は不可能だと考えていますし、 意味が正しいかどうかも自信があるわけでもありませんので、 あしからず)


アムステルダムの港で
水夫たちは歌っている、
アムステルダムの外海を
行き交う夢について。
アムステルダムの港で
水夫たちは眠りこけている、
古いフランス幟のような
陰鬱な運河のながい岸辺で。
アムステルダムの港で
水夫たちは死んでゆく、
ビールと波乱に富んだ
最高の輝きのなかで。
アムステルダムの港では、しかし
生れてくる水夫たちもいる、
けだるい洋上の
苛烈な熱気の中から。

アムステルダムの港では
水夫たちは喰っている、
真白なテーブルクロスの上の
濡れしたたる魚を。
その歯が示しているのは、
幸運にかぶりつき
月を欠けさせ
帆をふくらませてきたこと。
真鱈の揚げもの
のにおいのする
大きな手で
おかわりをうながす。
荒れ騒ぐ嵐のような声で
笑いながら起き上がり
ズボンの前を閉め
げっぷしながら外へ出て行く。

アムステルダムの港では
水夫たちは踊っている、
太鼓腹を女の腹に
こすりつけながら。
彼の古ぼけた
くさい蛇腹に
太陽をあてるように
くるくる向きを変えながら踊りつづけ、
首を曲がりくねらせ
笑い声をもっとよく聞こうとする、
ついに蛇腹が
破裂するまで。
それから、おごそかな素振りと
堂々とした眼差しで
すっかり明るくなるまでいっしょに過ごす
オランダ女のもとへ戻ってゆく。

アムステルダムの港では
水夫たちは飲んだくれている、
飲んで、飲んで
さらに飲みつづける。
アムステルダムや、
ハンブルグや、別の港の
売春婦たちの健康を祝して飲み、
それから最後に
お金で美しい体と
貞淑を捧げてくれる
ご婦人たちのために飲む。
そしてすっかり酔っぱらたら
空に鼻を向け
星の下で洟をかみ、
不実な女たちのために涙を流すように
立ち小便する。

アムステルダムの港では
アムステルダムの港では

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