桜咲く2010/03/23

 桜が開花した。

日本人ならうきうきしてきて出かけたくなる季節だ。
というわけで、さっそくカメラを持って散歩に出かける。
桜が咲いているのではと期待して、横浜山手あたりを散歩することにする。
すこしばかり花を開いているものがちらりほらり。芽は今にもはちきれそうになっている。



 しかし、まだこぶしの花の真っ盛りで、それを撮影していると、
めずらしく猫が寄ってくる。猫というのはあまり愛想がないものだが、
飼い猫なのか、いつまでもついてくる。
こんなことはあまりないので、記念に一枚。



 天気も上々なので、外人墓地まで足をのばす。
横浜の開港以来の外国人のための墓地で、生麦事件の犠牲者など幕末以後さまざまな事件で命を落とした者たちの墓がたくさんある。墓碑銘などを見て歩くのが好きなので、立ち寄りたい場所のひとつだ。




土日祝日は寄付をすれば中の見物もできるのだが、時間が早かったせいかまだ開いていなかったので、まわりを歩いて、元町のほうへ下る。塀沿いに歩きながら、おもしろいものはないかと見ていると、なにやら墓碑銘の書かれたお墓を発見。



Go tell his friends ,
Thou that passest by,
That here,
obedient to their laws,
he lies

と読めるようだ。(写真を参照)

 日本のお墓でもそうだが、墓碑銘というのはきまりきったパターンのようなものがあるものだが、なんとなくシモニデースの有名なエピタフに似ているような気がして帰ってネットで確認してみた。すると、「テルモピレーの戦い」(Battle of Thermopylae)というWikipediaで、興味あるものを見つけた。


 このなかで、シモニデースの墓碑銘(Epitaph of Simonides)についての記述があって、種々の英訳(なんと13種類)が紹介されていて、そのなかに先のものとよく似ているものがあった。

Go tell the Spartans, thou who passest by,
That here, obedient to their laws, we lie.


 ちなみにLoeb版の英訳は
Stranger, go tell Lacedaemonians
that we lie here in obdedience to their word.

である。


『花冠』というギリシア・ローマ詞華集の翻訳で有名な呉茂一氏の日本語訳は、


テルモピュライなるスパルタ人の墓碑に 

行く人よ、
ラケダイモンの 国びとに
ゆき伝へてよ
この里に
御身らが 言のまにまに
われら死にきと
シモーニデース    呉 茂一 訳

となっている。

いずれにしても、異国で倒れ死んでいくものの無念のようなものが
行間にこめられていて鬼気せまるものがある。


ちなみに古典ギリシア語の原文は次のとおり。


Ὦ ξεῖν', ἀγγέλλειν Λακεδαιμονίοις ὅτι τῇδε

κείμεθα, τοῖς κείνων ῥήμασι πειθόμενοι.





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