そして船は行く ― 2010/02/20
フェデリコ・フェリーニ監督『アマルコルド』は、1930年代のイタリアの小さな港町の人々を描いた映画(1973)であるが、そのなかでもっとも印象に残るシーン。沖を通過する客船レックス号を見ようとして、町中の人々が、日中からめいめい船に乗り合わせて、沖へ向かい、夜中になるまで語りあかしながら根気よく待ち、ついに光り輝く巨大な客船が通ると、人々の熱狂はピークに達する。
― (通過するのは)夜中11時から12時の間だそうだ
― 30階建てで 煙突が11本
― そんなでかい船をどうするんだ
― 総出で どこへ行くんだ?
― みんな そわそわしてさ (町の人々の会話)
― なんじの運命を渡り行け
我は追う
その きらめく航跡を (詩人の朗読)
我は追う
その きらめく航跡を (詩人の朗読)
今日、豪華客船クイーン・メリー2(通称QM2)が、横浜にやって来た。ベイブリッジを通過できないので大桟橋が使用できず、去年と同様大黒埠頭への接岸だった。平日にもかかわらず、多くのもの好きが、朝早くから三脚にカメラをセットし待ち構えていた。不肖私もその列のなかに。去年の寄港の際は、見逃してしまったので、今回は気合が入った。しかし、こんなふうに気合の入ったときほど、空振りに終わるというのが、ちょっと大げさだけど私の写真人生の結論になりつつある。
今回の撮影も、やっぱりあまり好い条件に恵まれなかった。まず、入港の際の船の接近が、ちょうど雲から顔を出した太陽を背にしてしまったこと。もっと曇ってくれるか、去年のようにもう少し早めに到着してくれればよかったのに・・・・・。
船が灯台にさしかかり、光線が若干横向きになった瞬間に撮れた一枚。
船が灯台にさしかかり、光線が若干横向きになった瞬間に撮れた一枚。
また開港150周年のサービス気分があった去年と違って、今回は停泊している船をまともに撮影するポイントに近づくことができない。まあ、もともと貨物船の荷揚地なので、カメラなどをぶらさげ、ちゃらちゃらした見物人にうろちょろされては、仕事でピリピリしている港湾関係者もたまったものではないだろうが。
駐車場の金網越しになんとか撮った一枚。
停泊場所も中に入り込んだ区域なので、周りの建物に遮られてベイブリッジの下を歩くスカイウォークからもおそらく船の全体を捉えることは無理だろうと諦めて、出航時の撮影に最後の望みをかけてしばらく休憩して、本牧のシンボルタワーに移動することにする。しかし、今のカメラでの夜間の望遠撮影に馴れていないせいで、写真の出来映えはさっぱりだ。もっと日頃から練習して、こんな場合に備えておくべきだった、と反省しきり。しかし、ほんとうに大きい船だ。建物とかぶっていた船が動き出すと、ビルが動き始めたように見える。
「そして船は行く」
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